KADOKAWAは、狩野派の絵師によって描かれた絵巻を読み解く「戯画図巻」の世界 競う神仏、遊ぶ賢人を、2024年3月13日(水)に発売すると発表しました。
「スナイパー観音」としてSNSで話題になった、火縄銃をかまえる観音菩薩。
他にも、殺生を禁じた釈迦は水辺で漁にいそしみ、怪力無双の弁慶は小さな一寸法師に追い回され、威厳ある雷神は足をカニに挟まれています。
こうした、神仏、鳥獣、歴史上の著名人たちが、諧謔に満ちたコラボレーションを繰り広げるのは、狩野派の絵師たちの手で描かれた、江戸時代前期の絵巻「戯画図巻」です。
なぜこのように一風変わった絵巻が作られたのでしょうか。また、それぞれの絵は何を意味しているのでしょうか。
文学、美術史、歴史学の研究者が集まり、謎の解明に挑んだのが同書です。
同書は2部構成となっており、第1部では、初公開を含む海外の所蔵本など4本の全図をフルカラーで収録。各場面を分かりやすく解説しています。
後半の第2部では、「戯画図巻」の成立の謎や、各場面の文化的背景を解き明かし、さらにこの作品がどのように発展していったのかを考察する論考を収録。
こうした絵の数々を見て愉しむだけでなく、さらにその背景にある、江戸時代の豊穣な教養と優れた機智も知ることのできる、充実の1冊となっています。
「戯画図巻」の1つ、狩野昌運筆「異代同戯図巻」(福岡市美術館蔵)の場面の例
巻頭を飾る、鼠たちの正月風景の図。亀とリス、カマキリの構図は、実は御伽草子『弥兵衛鼠』のオマージュ。白鼠は物語の中で大出世を遂げる主人公・弥兵衛だろう。
文机に背を向けて手品を見せる諸葛孔明。どうやら手先が巧みであるらしい。
火縄銃をかまえる観音菩薩と、火縄の準備をする龍女。的のそばでは2羽のミミズクが成果を見守る。武家の射芸や砲術訓練を踏まえている。
能「鵜飼」は殺生禁断をテーマとするが、その鵜飼にいそしむのは白象に乗った普賢菩薩である。
蟹に足を挟まれる雷神、鼓は空中でバラバラとなってしまった。もがくその先には、ことわざ「蟷螂が斧」のとおり、カマキリが挑みかかろうとしている。
※「異代同戯図巻」は常設展示ではありません。
書誌情報
▼書名
「戯画図巻」の世界 競う神仏、遊ぶ賢人
▼編者
齋藤 真麻理
▼仕様
B5変型判・フルカラー160頁
▼定価
3,300円(本体3,000円+税)
▼発売日
2024年3月13日
▼ISBN
9784044007737
▼発行
株式会社KADOKAWA
▶ KADOKAWA 公式サイト
▶ 福岡市美術館 公式サイト
この情報は3月2日(土)時点での内容です。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。