福岡アジア美術館では現在、「谷川俊太郎 絵本★百貨展」を開催中です。2024年6月16日(日)まで。
詩人の谷川俊太郎は1960年代から現在に至るまで、さまざまな絵描きや写真家と200冊にも及ぶ絵本を作ってきました。
ことばあそび、世界のありようを認識する手がかり、ナンセンスの楽しみ。そして生きることの面白さや大変さ、尊さ、死や戦争までをテーマに、今日も絵と言葉による表現に挑んでいます。
バラエティ豊かな絵本に共通するのは、読み手に対する谷川俊太郎の希望の眼差しです。展覧会は約20冊の絵本を取り上げ、多彩なクリエイターとともに、絵本の原画、絵や言葉が動き出す映像、朗読や音、巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーション作品などを展示。
絵本の世界から飛び出した、子どもから大人まで誰もが楽しめるおもしろい展覧会です。
谷川俊太郎と絵本
1952年に「二十億光年の孤独」でデビューして以来、詩や翻訳、脚本など、言葉によるさまざまな作品を生み出している谷川氏。
絵と言葉があわさった表現には早くから関心があり、1956年には自らの詩と写真で構成する第4詩集「絵本」を出版しています。
絵本作りは1960年代後半から本格化し、和田誠、堀内誠一、長新太、元永定正、タイガー立石、大竹伸朗、皆川明、松本大洋、tupera tupera、Noritake、junaidaら、同時代のクリエイターとともにさまざまな絵本を作り出しました。
今回の展覧会にあたり、谷川氏は以下のコメントを寄せています。
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詩だけ書いてるんじゃつまらない、という気持ちがぼくには初めからありました。もっと他のジャンルも試みてみたいと思っていて、ラジオドラマの台本や記録映画の脚本、歌の作詞など依頼があれば、詩だけでは食えないという現実的事情もあって、出来そうなジャンルには進んで⼿を出してきました。
その中で最も自分に向いてると思ったのが絵本でした。言葉だけの詩と違って絵や写真が伴うと世界が一挙に広がるし、具体的になる、そこに魅力を感じて絵は描けないけれど、まず何をどう扱うかという絵本のコンセプトを考えて、限られたページ数の中で各場⾯をどういうイメージで組み合わせるか、また言葉と絵や写真が一緒になることでどんな新しい世界が生まれるかなど、詩を発想するのとは次元の違う興奮がありました。
またぼくの場合絵本は独りでは創れない、常に他のアーティストとの共作になりますから、そこも思いがけない自分を発見するきっかけになりました。
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「百貨展」で紹介する絵本
「絵本」写真・谷川俊太郎 的場書房 1956(2010復刊澪標)
「まるのおうさま」絵・粟津潔 福音館書店 1971
「こっぷ」写真・今村昌昭 福音館書店 1972
「ぴよぴよ」絵・堀内誠一 ひかりのくに 1972(2009 復刊くもん出版)
「ことばあそびうた」絵・瀬川康男 福音館書店 1973
「とき」絵・太田大八 福音館書店 1973
「もこもこもこ」絵・元永定正 文研出版 1977
「えをかく」絵・長新太 新進 1973(1979 復刊講談社)
「せんそうごっこ」絵・三輪滋 ばるん舎 1982(2015 復刊いそっぷ社)
「なおみ」写真・沢渡朔 福音館書店 1982
「うつくしい!」写真・塚原琢哉 日本ブリタニカ 1983
「ままですすきですすてきです」絵・タイガー立石 福音館書店 1986
「ぽぱーぺぽぴぱっぷ」絵・おかざきけんじろう クレヨンハウス 2004
「おならうた」絵・飯野和好 絵本館 2006
「かないくん」絵・松本大洋 ほぼ日 2014
「これはすいへいせん」絵・tupera tupera 金の星社 2016
「へいわとせんそう」絵・Noritake ブロンズ新社 2019
「オサム」絵・あべ弘士 童話屋 2021
「ぼく」絵・合田里美 岩崎書店 2022
「ここはおうち」絵・junaida ブルーシープ 2023
「すきのあいうえお」写真・田附勝 ブルーシープ 2023
和田誠との絵本あれこれ
展覧会概要
▼会期
2024年4月27日~6月16日
▼観覧時間
9時30分~18時(毎週金・土曜日は20時まで)
最終入場は30分前まで
▼休館日
水曜日
▼会場
福岡アジア美術館7階企画ギャラリー
リバレインセンタービル7階
▼観覧料
一般 1,600円
高大生 1,200円
小中生 700円
未就学児無料
チケットは、ARTNEチケットオンライン、ローソンチケット(Lコード84030)、セブンチケット等で販売
催しの詳細については、以下の特設サイトから確認できます。
この情報は5月4日(土)時点での内容です。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。