
福岡市中心部から車でわずか30分。糟屋郡篠栗町に位置する標高681mの「若杉山(わかすぎやま)」がいま、大きな転換期を迎えています。
弘法大師空海ゆかりの地として1200年以上の歴史を誇り、県指定無形民俗文化財の神楽や絶景スポットを擁するこの霊峰で、何が起きているのでしょうか。
減少する参拝者、岐路に立つ「祈りの文化」
若杉山は古くから山岳信仰の拠点として、多くの巡拝者が訪れる場所でした。しかし近年、ライフスタイルの変化により来訪者が減少。地域の担い手不足や後継者問題が深刻化しています。
このままでは、1200年守られてきた伝統が途絶えかねない―。そんな危機感を背景に、篠栗町観光協会は改めてこの山の価値を広く発信する取り組みを強化しています。

空海が修行した「若杉奥之院」と神秘の「はさみ岩」
山の象徴ともいえるのが、真言密教の聖地「若杉奥之院」です。
▼若杉奥之院
空海が唐からの帰国後に修行したと伝わる場所。樹齢数百年の巨木に囲まれた空間は、一歩足を踏み入れるだけで空気が変わるほどの静寂に包まれています。
▼はさみ岩
「善人しか通れない」「悪人は挟まれる」という言い伝えがある巨大な岩の隙間。スリルと神秘が共存する、若杉山を代表する修行スポットです。
「福岡の屋上」から望む、博多湾のパノラマ絶景
歴史的な魅力に加え、若い世代からも注目されているのが「米の山展望台」です。
車でアクセス可能なこの場所からは、福岡市街地から博多湾、志賀島までを180度見渡すことができます。昼間の開放感はもちろん、宝石を散りばめたような夜景は「福岡の特等席」と呼ぶにふさわしい光景です。

「森林セラピー」で現代人の心身をリセット
若杉山は、科学的にリラックス効果が証明された「森林セラピーロード」としても整備されています。
特に「落陽コース」は往復約25分の初心者向け。スギやヒノキの香りに包まれ、幹周り16m超の「大和の大杉」を間近に眺める時間は、都会の喧騒で疲れた現代人にとって、最高のリトリート(心身の回復)となるはずです。
4月・10月には伝統の「太祖神楽」を奉納
地域が守り続ける文化の象徴が、江戸時代から続く「太祖神楽」です。
福岡県指定無形民俗文化財にも指定されており、現在は女性の担い手も加わるなど、伝統を次世代へつなぐ模索が続いています。
▼春季奉納
2026年4月12日(日)
12:30頃~
▼場所
太祖神社(下宮)

大都市のすぐそばにありながら、深い歴史と豊かな自然が手つかずで残る若杉山。
観光地として楽しむだけでなく、そこにある歴史や課題に目を向けることが、この貴重な文化財を未来へ残す第一歩になるかもしれません。
今度の週末、心身を整えに「福岡の聖地」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
▼名称
若杉奥之院(番外霊場)
▼所在地
福岡県糟屋郡篠栗町若杉
福岡市街地から車で約30~40分
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この情報は2月22日(日)時点での内容です。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。