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世界遺産そばの名門ホテルが刷新へ – 日帰り95%の観光課題に挑む「滞在型」の勝算

世界遺産そばの名門ホテルが刷新へ - 日帰り95%の観光課題に挑む「滞在型」の勝算

宗像市の神湊に佇む、白亜のデザイナーズホテル オテルグレージュ。
全室オーシャンビューの贅沢な空間として知られる同施設が、2026年4月より新たな運営体制へと移行します。

世界遺産そばの名門ホテルが刷新へ - 日帰り95%の観光課題に挑む「滞在型」の勝算

背景にあるのは、世界遺産登録から数年が経過した宗像エリアが抱える「深刻な観光課題」です。
地元福岡の人々にとっても身近なこの場所が、どう変わろうとしているのか。その舞台裏を追いました。

95%が「日帰り」という現実
宗像・沖ノ島が世界遺産に登録された2017年以降、多くの観光客がこの地を訪れました。しかし、最新の統計(宗像市資料)では意外な事実が浮き彫りになっています。また、76%以上が福岡県内および隣接県からの来訪というデータも。
「宗像大社を参拝して帰るだけ」という通過型観光が主流となっており、地域にお金が落ちにくい構造が続いています。

実力派企業が「フル運営」に乗り出す
この現状を打破すべく動き出したのが、奈良市に本社を置くディライト株式会社です。同社は2021年から同ホテルの婚礼部門のみを受託していましたが、2026年4月からは宿泊・飲食を含む全事業を直接運営します。
同社はこれまで、奈良などの歴史的資源を持つ地域で、宿泊施設を「泊まる場所」から「旅の目的地(デスティネーション)」へと転換させてきた実績を持ちます。

世界遺産そばの名門ホテルが刷新へ - 日帰り95%の観光課題に挑む「滞在型」の勝算

注目すべき3つの刷新ポイント
▼ミシュラン星獲得シェフによる食の再定義
かつてミシュランガイドにも掲載されたメインダイニングが生まれ変わります。監修するのは、スイスで三つ星、国内で一つ星を獲得した実績を持つ鷦鷯進(ささき すすむ)氏。ジャンルに縛られず、宗像の食材や文化を物語として表現する「ガストロノミー体験」を提供します。
▼若い世代をターゲットにした滞在価値
従来の「年配層の参拝観光」に加え、20~40代の若い世代をターゲットに設定。全6室というプライベート感を活かし、2泊3日程度の「滞在型ウェディング」などを展開。短時間滞在を「質の高い長期滞在」へと塗り替えます。
▼地域全体への波及効果
単なるホテルの売上向上だけでなく、滞在時間が伸びることで周辺の飲食店やアクティビティへの回遊を促し、宗像エリア全体の価値向上を目指します。

今回の運営移行に際し、現時点で施設名称やサービス内容の大きな変更予定はありません。しかし、ソフト面(サービス・料理・体験)の刷新により、「知っているけど泊まったことはない」という地元福岡の人々にとっても、新たな選択肢となるでしょう。

世界遺産そばの名門ホテルが刷新へ - 日帰り95%の観光課題に挑む「滞在型」の勝算

「神宿る島」の玄関口にある名門ホテルが、地域の観光課題を解決するフロントランナーとなれるのか。
2026年春の本格始動に、県内からも熱い視線が注がれそうです。

ホテル オテルグレージュ 公式サイト

この情報は2月27日(金)時点での内容です。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。

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