2023年6月30日（金）より九州にて2週間限定公開されている内村光良監督の第4作目になる映画『夏空ダンス』。本作で内村光良監督が舞台に選んだのは、故郷の熊本県人吉・球磨。 故郷を襲った大きな地震、そして、水害。まだまだ復興が続く、故郷の姿の「今をきちんと残していかなくては」と、そんな想いがつまった作品。

全国公開の9月22日に先駆け、どこよりも早く九州で先行公開した本作を記念して、7月8日（土）インシネマ福岡で行われた公開御礼舞台挨拶に内村光良監督が登場しました。満席の会場から大きな拍手で迎えられた内村監督。お客さんからの質問コーナーに答えるなど会場は温かい雰囲気とたくさんの笑顔につつまれました。

ご挨拶
ようやく公開のはこびとなって嬉しい限りです。先ほど北九州空港に到着して、まずは戸畑で舞台挨拶してまいりました。みなさんの温かい拍手ですごくパワーを頂きました。今回また福岡で舞台挨拶させて頂きますが、こんなにたくさんの方が観に来てくださり、ありがとうございます。

福岡にはよくいらっしゃいますか？
妹が住んでいますので、よく来ています。ですが、結局ホテルにこもってくつろいでしまっていますね。福岡になにをしに来てんだって感じです(笑)。

監督第４作目を故郷で撮ろうと思ったきっかけは？
3年前のちょうど今頃、地元が100~200年に一度くらいの大きさの水害にあいまして実家も腰まで浸かってしまいました。ニュース映像で、見慣れた街が全部水に浸かっているのを見て本当に衝撃が強くて。水害の一週間後にコロナの影響で日帰りしかできなかったんですが、惨状がすごくて、川沿いで自衛隊や消防が懸命に作業している姿を見て心が締め付けられるような気持ちでした。それから1年たって落ち着いた頃に、今この復興途中の街を映せたらいいなと思って脚本を書き始めました。撮影中は街の方が協力してくださって、復興商店街のシーンでも実際そこで働いている方がエキストラで出てくれました。先日、人吉に行ったら復興商店街が撮影時は20店舗くらいだったのが、今は8～9店舗くらいになっていました。寂しくはなったのですが、みなさん独立していかれたということは良いことですし、真ん中の川の大きな中川原もこの映画の中では草がボーボーに生えていますが、今は綺麗に整備されています。映画の中と今の風景が変わっている、そういうところを映画に残せて本当に良かったなと思います。そして本当に街は刻一刻と変わっているんですけど、鉄橋や線路など復旧のめどがたってないところもあり、まだまだ復興はこれからだなと感じています。

9月22日の全国に先駆けて九州だけ先行公開されています
イオンシネマの福岡・佐賀・熊本で先行上映してくださったことに感謝しています。さきほど聞いたのですが、イオンシネマ熊本は上映延長になったそうです！この調子で福岡も一人でも多くの方に観て頂けたら嬉しいです。

撮影中に印象に残ったシーン
花火のシーンですね。あれは実際に（2022年）8月15日に行われた花火大会の日を狙って一発本番で撮影しました。踊っているダンス部の後ろに花火が上がるのか？という、ものすごい緊張の中で撮影しました。そして実際に真っ赤な花火が、彼女たちの後ろに上がった時、本当に感動しました。実は当日は土砂降りで、彼女たちは雨の中ずぶ濡れになって何回も何回も踊ってくれているんですよ。あの花火大会の日は忘れられないですね。

主演の島雄こなつさんは本物のダンサーですよね、どういった出会いですか
「世界の果てまでイッテQ！」という番組でダンスをする企画がありまして、その時に私にダンスを教えてくれたのがこなつちゃんだったんです。彼女が人吉の景色の中で踊る姿が絵になるんじゃないかな、と思って物語を考えました。一目ぼれみたいな感じですね、彼女は学芸会すら出たことなくてお芝居は初めてなんですけど、なにかとても魅かれるんですよね。ダンスになると急に顔がいきいきとしだすんですが、お芝居になるとカッチカチになる、そういうところがとても魅力的でした。

ダンス部員の面々について
男子含めて全員で14人いるんですが、半分は東京チーム、2人が熊本市内の子、あとの4人が本当に人吉高校に通っているダンスのうまい子の混合チームです。実は東京チームはこなつちゃんが所属しているダンスグループのメンバーで、本当は世界チャンピオンのチームなんですけど、立ち上げたばかりのダンス部という設定なので、わざとレベルを落として踊ってもらいました。

パッヘルベルの「カノン」編曲バージョンがテーマ曲になったのは
「カノン」のギターバージョンを聞いた時に、とても軽やかで、これでダンスを踊ったらいいなと思ったんです。たまたまプロデューサーの知り合いだった『ALWAYS 三丁目の夕日』や『レジェンド＆バタフライ』の音楽を手掛けた作曲家の佐藤直紀さんにコネでお願いしました(笑)。劇中の音楽もすべて作って頂きましたし、「カノン」のアレンジも素晴らしかったです。イオンモール熊本では、この「カノン」にのせて本当の高校生たちがダンスを踊るというイベントもやりました。私もそのイベントをこっそり見に行ったんですけど、高校生たちが一生懸命踊っている姿を見て撮影の時を思い出しましたね。よかったら、会場のみなさんもこの「カノン」で劇中のダンスを踊ってみるのはいかがですか？YoutubeやTik tok にあげて盛り上げてください(笑)

☆客席からの質問コーナー☆
以前、ラジオで「人吉城で機材を運ぶのが大変だった」と話されてるのを聞いたんですが、それ以外に撮影で大変だったことや撮影裏話などを教えて下さい。
やっぱり花火のシーンですね。花火が消えちゃうので「早くやろう、早くやろう」と限界ギリギリまでやっていたことが忘れられないですね。あと飯尾和樹くんは出演の予定は無かったんです。「見学したい」ということで現場に来てくれたので「じゃあ、出てよ」となって急遽台本にない“田畑を見守る人”という役で出てもらいました。そしたら、その数か月後に助演男優賞取ってビックリしました、ラッキーでしたね(笑)。そして、松重豊さんもうまかったですね～本当にラーメン屋にいそうな感じで、アドリブもさすがでした。本当にひとつひとつが良い思い出です。

劇中で内村さん演じる夏子の父が乗っている車のナンバーが1985だったんですけど･･･これはウッチャンナンチャンのデビュー年だからということでしょうか。
はぁー（驚愕）そうか！全く分からなかった。あれは実家の車なんですよ、いつも乗っているやつ。だから運転し慣れた感じだったでしょう？ナンバーは全く偶然です(笑)　※車はご実家の車ですが、ナンバーは映画撮影用の作ったものです。

私は職場に若手が多くコミュニケーションが難しいなと思うことがあるのですが、この作品でも若いキャストの方が多かったと思います。若いキャストの方々とコミュニケーションするうえで気を付けたことは？
うちの娘と同世代なので、年齢的にお父さんのような感じに接してましたね。ダンサーのみんなが監督として接してくれているのがとても嬉しかったですけども、あまり深入りしないように(笑)でも要所要所で、例えばお弁当をみんなで食べたり、その時にお喋りを楽しんだり、ちょっとずつですね。あと、撮影前の稽古の時に人吉の街について話したりとか、そういうところが大事だったんじゃないかなと思います。

娘の夏子から「卒業後は東京でダンサーに挑戦したい」と打ち明けられた時のシーンに感動しました。どういう思いで演じられましたか？
自分も同じような年代で映画を作りたいから東京へ行くと言って家を出たので、その時の自分を投影しているところはあります。

映画のタイトル「夏空ダンス」ですが、ポスターの文字は
これは実は私の字です。みんなが手作りな感じでこれが良いと言うもんですから(笑)

最後に福岡の会場みなさんにメッセージをお願いします。
今日はたくさんの方に観に来ていただきまして本当にありがとうございました、今年一番嬉しいです。もっとより多くの方に観ていただけるよう全国に届けたいなと思います。

『夏空ダンス』作品概要
ストーリー
高校3年生を中心にダンス映像作品を撮影している人吉の高校ダンス部。その中心にいる川辺夏子(島雄こなつ) は、誰もが認めるダンスの実力を持ち、ダンサーへの夢に挑戦したい気持ちに胸をふくまらせる。市役所勤めの夏子の父（内村光良）は、水害を受けた街の復興に邁進する一方、街を出ていく人たちに別れを告げるたびに寂しさを感じている。そんなある日、娘の夏子から「卒業後は東京でダンサーに挑戦したい」と打ち明けられー。

出演：島雄こなつ、倉島颯良、吉川康太
上田祐凪、石川渚、田中瑠乃、東美里、梅田夕、渡邊夏音、江口ななこ、塩崎由結、橋本瑠々花、大山未美、溝口惺也
飯尾和樹、長谷川朝晴、原慎一、映美くらら、北村一輝、ムロツヨシ、松重豊、内村光良
監督・脚本：内村光良
制作：FILM　　製作：プロジェクトユー、マセキ芸能社、ＦＩＬＭ、ＭＯＮＤＯ
配給：イオンエンターテイメント　　　本編尺：47分
コピーライト：(C)2023「夏空ダンス」製作委員会
HP：https://www.maseki.co.jp/news/detail?news_id=2659

作品概要
内村光良監督４作目にして初めて故郷を舞台にした短編作品。自然災害が残した爪痕、なくなっていくもの、新しくなっていくものなど、今も復興途中の故郷の熊本人吉・球磨の姿を、ダンスで夢を叶えたいと願い未来に向かって進んでいく主人公を通して描く希望の物語。

7月13日（木）まで先行上映
＜上映劇場リスト＞
熊本　イオンシネマ熊本
福岡　イオンシネマ福岡、イオンシネマ戸畑、イオンシネマ筑紫野、イオンシネマ大野城
佐賀　イオンシネマ佐賀大和

この情報は2023年7月12日（水）時点の内容です。最新の情報は公式サイト等から確認をお願いします。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。