人・夢・技術グループ株式会社の子会社である株式会社長大(本社:東京都中央区)は31日、同社が計画・設計に携わった「有明早津江川大橋」が、土木学会デザイン賞2024の優秀賞を受賞したと発表しました。
土木学会デザイン賞は、公益社団法人土木学会景観・デザイン委員会が主催する顕彰制度です。
2001年に創設され、正式名称は「土木学会景観・デザイン委員会デザイン賞」といいます。
公募対象を広く土木構造物や公共的な空間に求め、計画や設計技術、制度の活用、組織活動の創意工夫によって周辺環境や地域と一体となった景観の創造や保全を実現した作品およびそれらの実現に貢献した関係者や関係組織を表彰しています。
有明早津江川大橋
有明早津江川大橋は、福岡県大川市と佐賀県佐賀市を繋ぐ、橋長854mの橋梁です。
架橋地周辺には世界遺産「三重津海軍所跡」、選奨土木遺産「デ・レイケ導流堤」、国指定重要文化財「筑後昇開橋」があります。
この地域は、広がりのある平坦な地形に加え、日本一の干満差があって変化に富んだ表情をもつ有明海、さらに、その背景には山々が連なるという自然美に恵まれ、これらの歴史的遺産と自然が織りなす風景そのものがシンボルとなっています。
橋梁設計に際しては、こうした地域の特性をさらに高められるよう、橋梁としての個性の主張を抑制しながらも準主役級の役割を果たすことができる、洗練された質の高い橋梁を目指したとのこと。
有明早津江川大橋は、中央径間の一つをアーチ構造で早津江川を渡河し、もう一方の中央径間は桁構造で三重津海軍所跡を跨ぎます。
支間長が同規模の橋梁で、アーチと桁の複合構造とした橋梁形式は国内で初めてです。
三重津海軍所跡を跨ぐ上部工はシンプルな桁構造とし、桁高・桁幅を小さく抑えて圧迫感を軽減。歴史的遺産の価値を損なうことのないよう留意。
また、同橋に至る道路は線形が曲線になっていることから、様々な角度からアーチが見られる視認性を活かせるよう、逆五角形変断面のアーチを採用。軽快感を表現するとともに、塗装色は河畔の植生や田園に馴染む「裏葉色」が採用されました。
評価ポイント
有明早津江川大橋は、単弦かつ多角形断面のアーチリブとシンプルな鉛直ケーブルの採用によって、橋上からの開放的な眺望とシルエットの軽快感を創出。
同じ路線上の有明筑後川大橋と類似の中路アーチを採用する一方、張り出しの大きいブラケットと連続したフェイシアラインでデザイン的な統一と調整が図るなど、この地域のランドマークとなり得るシンボル性を巧みに獲得していることを高く評価。
隣接する世界遺産、三重津海軍所跡を跨ぐ部分をアーチ部と同じ程度のスパンにも関わらず桁構造にして、地域の歴史遺産の継承に配慮したことも高評価を得るポイントに。
選考委員からは「橋上からアーチ越しに眺められるシークエンス景観も爽快で、多くのドライバーがきっと沿岸道路を「また通りたい」と思っているに違いない」との講評を得ています。
この情報は2025年1月31日(金)時点での内容です。また、記事の内容は予告なく変更される場合があります。